痛みが出るメカニズムについて医学的に解説してみた

2025年02月11日

肩こりが辛い人

1.痛みの発生(侵害受容)

痛みは、体の組織が損傷したり、損傷しそうになったりしたときに発生します。この時、『侵害受容器』と呼ばれる痛みを感知するセンサーが刺激されます。

侵害受容器が反応する刺激
・機械的刺激(打撲・骨折・捻挫など)
・熱刺激(火傷・凍傷など)
・化学的刺激(炎症時に分泌されるプロスタグランジンやブラジキニンなどの化学物質)

炎症や組織損傷があると、「ブラジキニン」「ヒスタミン」「プロスタグランジン」などの発痛物質が放出され、侵害受容器をさらに刺激します。

2.神経伝達(末梢⇨中枢)

侵害受容器が刺激を受けると、その情報は末梢神経を通じて脊髄に送られます。

この痛みの信号は、脊髄後角で別の神経(2次ニューロン)にシナプスを介して伝えられ、上行性の脊髄視床路を通って脳に送られます。

3.痛みの認識(脳での処理)

脊髄を上行した痛みの信号は、視床を経由して、大脳皮質の体性感覚野に伝達されます。ここで、痛みの強さや場所を認識します。

また、視床から大脳辺縁系や前頭前野(認識や判断に関わる)にも信号が送られ、「痛みが辛い」「不快だ」などの感情的な要素が生まれます。

4.痛みの調節(下降生疼痛抑制)

脳は痛みをそのまま受け取るだけでなく、「痛みを抑えるシステム」も持っています。

・脳幹(中脳・延髄)の「下降生疼痛抑制系」が働くと、エンドルフィンやエンケファリンといった、内因性オピオイド(脳内麻薬)が放出され、脊髄後角で痛みの伝達をブロックします。

・心理的な要素(気がまぎれる、集中しているなど)も痛みを和らげる要因になります。

まとめ

1.刺激の発生(侵害受容器が痛みの刺激をキャッチ)
2.末梢神経から脊髄へ
3.脊髄から脳へ(脊髄視床路を経由して大脳皮質で痛みを認識)
4.痛みの調節(脳の下行性疼痛抑制系が痛みをコントロール)

この一連の流れによって、わたしたちは「痛み」を感じ、それを回避する行動を取ることができるのです。

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